Categories: ARCHITECTURE
Completion: 2023
Place: Toyama
Function : ADMINISTRATIVE BUILDING
本施設は、民間企業により構成された「富山城址公園パークマネジメント共同企業体」の管理事務所であり、城址公園の賑わい創出拠点である。城址公園という街中にぽっかり空いた大きな空き地の可能性を最大限に活かせるよう持続可能な建設プロセスを目指している。
この建設プロセスにおいては、次のポイントを計画に盛り込んでいる。
(1)「ユニット構法による増設、解体、移設を容易にした柔軟さ」
(2)「つくることが富山の自然への恩返しとなること」
(3)「利用者参加型での施設整備による関係人口増加」
城址公園内での建設にあたり、富山市より指定管理期間を終えた時点で、更地とし現状回復することが条件とされていた。富山市より3年間の指定管理が決定しているが、管理チームはその先の将来も期間を延長することを目指している。
このような不確定な条件もある中で、この建築は増設・解体・移設を容易にする構法を採用した。最小単位のユニットの集合体として計画し、芝生広場の傾斜に対して高床で浮いたような建築となった。今後、東屋や野外ステージ、松川縁まで管理範囲が広がった際にはまた別の拠点施設などを整備していくことを期待している。
城址公園は、富山の街中にあるが、そこで暮らしていると、豊富な食材や立山連峰に見守られる安心感等、常に自然の恩恵を感じられる。
そこで、建材に関して、この富山の中心地において、自然と街の循環に貢献する建築ができないだろうかと考えた。
富山の林業は非常に厳しい、急峻な地形により大規模林業が困難であるため、伐採、運搬にコストがかかり、他県産材が選ばれることもあると言う。
本来建築の構造材となるA材として育った樹木が行き場なく、B材、C材としてバイオマス発電などに利用されることもあるそうだ。木材の価値が正当に評価されないことで地域林業に利益が生まれていないのである。
本施設は建築、外構ともに県産のグリーン材を大いに活用している。人の目に触れることで、一過性の施設整備ではなく、新たな活動が広まるのではないだろうか。
また、日常的に街中で生活をする人たちや、今後富山の街中で活動していく学生たちと共に外構の整備を行った。かつての富山城は江戸時代から大正時代にかけて、住民参加でお堀を解体しながら街を作り上げた歴史がある。かつてのお城がそうであったように、街中の拠り所として愛着が生まれ、賑わいが生まれる場所となることを目指している。更に今後、施設運営においても各種イベントを開催することで、公園の関係人口を増やしていく取り組みを行っていく予定である。