Categories:INTERIOR DESIGN
Completion:2024
Place:TOYAMA
Function :HOTEL
富山市、神通峡に位置するリバーリトリート雅樂倶の201号室(水紋)、202号室(環水)のリニューアル計画である。
「サステナブル×ラグジュアリー」をコンセプトに、土地に根差したアップサイクル素材、環境配慮型の新素材などを取り入れ、多様な視点でサステナビリティと出会える空間である。
全てを壊しスケルトンから作り変えることはせず、201号室のアーチ天井や202号室の大型建具などの元々の設えの良い部分は積極的に活かしている。「残すこと」と「新しく作ること」のバランスをはかる過程は、解体範囲をデザインすることでもあった。
サステナブルでありながら、ラグジュアリーであることの実現が命題であった。ラグジュアリー空間に対してもサステナブルを取り入れられることで、高級感を求める層にとっても新しいスタンダードとなり、サステナブルな社会の実現につながるきっかけとなることを願う。
201 改修前
201 改修後
202 改修前
202 改修後
<和紙>
和紙の表情のあたたかさ、和紙の原料を個性的に見せ、神通峡の流れをイメージしたアーティスティックな和紙空間を実現。(左写真)和紙は川原隆邦氏の製作。
202号室の寝室の一室は土壁を原料として漉いた土壁和紙(右写真)の空間とし、一見土壁でありながら透ける不思議な空間体験である。
<陶片を混ぜ入れたテラゾータイル>
陶芸家の釋永陽氏の工房で廃棄される陶器の破片を回収し、鳥居セメント工業の協力のもとオリジナルタイルを製作した。不均一な陶片によって、温もりを感じられる表情をつくっている。
<再生ガラスペンダント照明>
神通峡の水面の水紋をイメージしたシルエットを落とすオリジナルペンダント照明は、ガラス窓などの建材用板ガラスの端材を再生ガラスとして活用した、佐々木俊仁氏によって吹きガラスで製作。
<突板パネル>
造作家具工場に眠っていた樹種や大きさがバラバラな突板材の中で、使われずにいずれ処分されるだけの部分をあえて家具の面材として活用した。部屋のインテリアに合わせて塗装することで違和感のないまとまりを感じられる。中嶋工芸社による造作。
<什器コーディネート>
雅樂倶でかつて使われていたが、部分的に汚れや損傷によって利用されずに保管されていた家具、什器を張地替えや塗装などによってアップサイクルすることと、新規家具の選定を合わせ、再編集しコーディネートした。コーディネートは株式会社家’sとCOMPASSによる。
<左官壁>
神通峡の砂を混ぜ込んだ版築風壁は砂の粗さの差による表情の違いを感じられる。左官職人の佐吉によって何度も試作を行い表情を確かめた。